杉江松恋不善閑居 所沢・彩の国古本まつり、もう百貨店は古本まつりをやらない

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某月某日

朝から取り組んで急ぎの仕事を二つ片付けてしまう。対談の構成である。それが終わってもう一本、今度はインタビュー原稿を上げてしまう。本当はレギュラー原稿を書きたかったのだが、残念ながら時間切れ。夜に池袋コミュニティカレッジがあるので、準備に入らないといけないのだ。といいつつ、外出する。えっちらおっちらと北上して、埼玉県所沢で二日目を迎えた彩の国古本まつりに行くためだ。本当に東京の古本まつりは少なくなってしまった。古書会館でやるものを除くと、大規模な開催は新橋SL広場でやるものぐらいになった。以前は伊勢丹でも京王でも小田急でもやってたんだぜ。池袋西武の、三省堂書店主催で開かれていたものが無くなったので、ついに百貨店の古本まつりは無くなってしまったのである。宇都宮東武の古本まつりとか、またやってくれないだろうか。

百貨店の古本まつりは、あと十年もすると知らない世代が出て来て伝説の域に入るのかもしれない。普段はお中元やお歳暮の特設売り場ができる催事場に、所せましと古本ワゴンが並べられ、いつもは百貨店なんか足を運びやしない人種が大勢詰めかけたのである。みんな開店ダッシュを狙っているから、催事場にいちばん近いエレベーター、エスカレーターの位置を把握していて、ドアが開くと同時に飛び込んだものである。コミケと違って百貨店員は「走らないでください」とか言わないから猛ダッシュだ。古本まつりの行き帰りにも他の売り場になんか寄らなかっただろうから、もしかすると百貨店にはあまりメリットのない客だったのかもしれない。

それはともかく。所沢では徳川夢声の『問答有用』の不揃い数冊と、『上方芸能』二冊、『中州通信』を買った。『問答有用』は私家版の11巻が入っていたからで、『上方芸能』は浪曲師・吉田一若の連載原稿目当て、『中州通信』は三遊亭円丈のインタビューが載っていたためである。これだけ買って楽しく池袋まで戻り、講師の仕事をして帰る。

9月8日の〈スギエゴノミ〉は、回によってはそろそろ満席だがまだ入れます。9月28・29日の松浦四郎若独演会も絶賛予約受付中なので、お早目にどうぞ。

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