杉江松恋不善閑居 書評を楽しむサイトBookjapanを終了します

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某月某日

あることがきっかけとなって急遽決意した。

書評を楽しむサイト「Bookjapan」のドメインを返上し、9月末で終了する。

BookjapanはA社が書評文化の振興を唱えたもので、初めは私も執筆者として参加していた。A社がサイト運営から手を引くことになり、書評などのコンテンツがネットから消えてしまうのがもったいないと思い、私が預かることを申し出た。通算で15年は経つだろうか。ここしばらくはコンテンツの追加もなく、休眠状態のままだった。新しいことをやるための場としてこの「本芸」も準備したので、もう変化の可能性もない。これだけ時間が経過したので、そろそろおしまいにしよう、と決めたのである。ご了承いただきたいと思う。

サイトを創ったA社の理念は高く、だからこそ継承を申し出たのである。明かしてしまっていいと思うが、執筆陣として参加を打診されたとき、最初に原稿料のことを聞いた。A社の責任者は「一本はないと恥ずかしいでしょう」と答えた。一本とは1万円のことである。ネットだから安くていい、というような考えは微塵もなかった。

2009年当時は紙媒体に今よりも力があり、ネットがどういう風に発展していくかが私には見えていなかった。何もしないわけにはいかないという手探りで、それはA社も同じだったと思う。印象的だったのは、掲載記事から電子書店へのリンクがAmazonではなく、すでにサービス終了した某社だったことである。それは判断ミスで、AmazonにしてればA社はアフィリエイトでもう少し潤ったと思うのだが、まだ完全な寡占になるまでは時間があったのである。たぶん。私はその電子書店を使ったことがまったくないので、単にA社がやらかしてしまっただけかもしれないが。

A社から運営を個人の私が引き継いだとき、それまでの執筆陣に過去記事の継続掲載と今後書いてくれても原稿料は払えないということを連絡して了承をもらった。無料の原稿は書かない、と連絡して態度表明をしてくださった方もいる。それ以降は、新たな体制での運営となり、しばらくの間は寄稿も受け付けていた。これも今だから書くのだけど、ごくごくわずかな額を図書カードでお支払いしていた。寄稿が途絶え、それも自然消滅した。

私が運営するようになってからのBookjapanは商業ベースを考えない、趣味と実験の場のようになっていた。自分では管理ができないので、学生の後輩にアルバイトとして手伝ってもらっていた。彼らが就職して離れたことが、サイトの更新が途絶えた主因である。私が片手間にやるには運営方法が困難すぎた。この「本芸」を創り、Bookjapanを休眠させた。

現在のBookjapanは、私がサーバーとドメインのレンタル費用を支払って維持しており、それを止めれば自動的に停止する。その期限を9月末と決めたのである。場合によってはもう少しだけ延長するかもしれないが、11月に入ることはない。多くの人にご厚意で支えていただいたことに感謝する。ありがとうございました。

昨日は外出せず、前日の〈スギエゴノミ〉後処理など事務作業と、新刊『日本の犯罪小説』再校直しなどで終始した。バイク便でそれを戻し、夜は〈朝日カルチャーセンター〉講師をリモートで。メールに新しい仕事の依頼が二つ届いた。稼いだ額はないが、業務評定は2.5。今月は以下の仕事がまだ控えている。

【レギュラー】週刊5、月2回刊2、月刊4【イレギュラー】書評4、選評1、文庫解説1、【その他】取材2、対談1、座談会出席1、講義1、動画制作・公開7、演芸会主催3。

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