杉江松恋不善閑居 サイン本作成と石神井公園・きさらぎ文庫

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某月某日

毎月第一・第三木曜日は池袋コミュニティカレッジの講義があるのだが、その前に新刊『日本の犯罪小説』のサイン本を作りにこないか、という話をいただいたので光文社に伺う。書店から依頼があったとのことで、私のような者にまでサイン本のお話をくださって誠にありがたいことである。だってサイン本は書店の買い取りになるのだから。当該の書店さんは、私にできることがあったらなんでもおっしゃってください。

午後3時の予定だったが、途中で列車事故のため遅延が発生し、30分近く遅れてしまう。申し訳ない。そんなにたくさんの冊数があるわけでもないので、サイン自体は午後4時には終わった。このあと講義までどうするか、と考えてとりあえず有楽町線に乗る。小竹向原まで行って西武池袋線に乗り換え、石神井公園で降りる。

以前は寿司屋で開かれていた落語会があったため、よく来ていた駅だった。コロナも挟んでしばらくご無沙汰している。下車してみたら、駅前が再開発されて見違えるようになっていた。南口から徒歩1分もかからないところにあるのが、きさらぎ文庫である。来るのは、本当にひさしぶりだ。十年以上かもしれない。

店頭の均一棚が異常なほどに充実していて、なぜか釣りの本がかなり多い。まとめて処分しているのだろうか。入ってみれば通行可能なのは中央の通り一本だけで、後は本に占拠されている。その通りは歴史・民俗学や演劇・芸能などの色彩が強く、買えそうなものがごろごろしている。と、帳場の向こうにいらっしゃったご主人が立ち上がって通路をこちらに来られ、棚を見ながら何やら考え事を始めた。困った。通路はこれしかないのだ。ご主人の向こう側が見たいのだが、どいてもらうわけにもいかない。しばらくしたら戻られるかと思ったが、何かに没頭されていてその様子もない。これはまた日を改めようと思い、法政大学出版局の山田幸一『ものと壁の文化史45 壁』を購入することにした。このシリーズ、千円以下なら安いので、他にものがなければ買うことにしている。日本建築の壁がどのような発達をしたか詳しく考察されているくだりは読んでおいて損はない。

さて、この後はどうするか。(つづく)

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