正午過ぎに外出して、江東区の江戸深川資料館へ。小ホールで講談かぶら矢会である。ずいぶん間が空いてしまった。またちゃんと毎回顔を出そう。
遅れたのは原稿が片付かなかったせいで、1本送ってからの外出である。この原稿料で10月末までに稼がなければいけない金額への進捗率は33.53%に達した。先は長い。今週は火・水と在宅なので、そこで進めようと思う。
かぶら矢会は翻案講談の琴星途中に到着し、次の琴調から会場内で聴けた。大岡政談の「しばられ地蔵」、楽しい読み物である。この日のお目当てはなんといっても琴柳の「三村の薪割り」である。義士伝の中でも好きな一席で、男同士の身分を慮外視した友情が描かれるのがいい。爽やかにしめくくられ、夢の覚めたる心地になって表に出る。
が、ちょっとやることがある。江戸深川資料館の施設利用登録をしなければいけないのだ。せっかく清澄白河まで来てもったいない。数分で済ませて帰る。これで、ネットで予約できるようになったぞ。
行きは半蔵門線の清澄白河から来たが、さらに北に行って都営新宿線の森下をめざす。月曜日なので深川近辺の古本屋はたいてい休みなのだが、森下駅至近の古書しいのき堂が18時までやっているのだ。前回来たときは閉店時刻ぎりぎりだったので入れなかった。
駅を手前に西に曲がると、次の角に店が見える。大きく看板を出しているわけではないので、遠目には美容室のようだ。それだけ品のいい造りなのである。
扉を開けて中に入る。右手前が絵本や児童書のゾーンで、三本ある中央棚のうち、扉に向いた側が文庫中心、あとは海外文学である。左の手前が美術書、奥にやはり海外文学があり、突き当りの壁は日本文学棚である。ここは美本が並んでおり、背を見るだけで心が和んでくる。左壁の棚で、ジョルジュ・シムノン『汽車を見送る男』(新潮社現代フランス文学叢書)が500円なのを発見する。けっこう珍しい本だと思うが、焼けてそりがあるのと、表3に書き込みがあるから安いのだろう。ダブりかもしれないがありがたくいただく。もう一冊、中のシマでチャールズ・M・シュルツ作『チャーリー・ブラウンなぜなんだい? ともだちがおもい病気になったとき』(岩崎書店)を発見。こちらも500円だ。カバーがないから安いのだろうか。絵本でカバーがないのは仕方がない。シュルツががん患者のこどもたちのために描いたもので、これでしか読めないピーナッツである。持っていないはずなのでこれも即購入を決める。合計千円、いい買い物だった。
しいのき堂を出るともう夜だ。ずいぶんと日暮れが早くなった。都営新宿線に乗り、帰宅。