杉江松恋不善閑居 フリーランスだからシビアに日々の収支計算するよ

Share

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Evernoteに保存Evernoteに保存

某月某日

一昨日打った帯状疱疹予防ワクチンの副反応で熱が出て、昨日はずっと37℃台の半ばをうろうろしていた。仕事をしようとすればできないわけではないのだが、たまには体をいたわってもいいだろうと、少し読書をする以外は横になっていた。今朝起きてみたら平熱に戻っていたので平常営業に戻る。待ってもらっていた原稿を送って、これは昨日分として勘定することにした。勤務評定としては1.5。原稿の二次使用に関する許諾申請が来たので受けたのである。この原稿料で、10月末までに稼がなければいけない金額への進捗率は36.06%になった。

誰も気にしていないだろうが一応書いておくと、毎月設定している金額は1.5掛けになっている。たとえば50万円だったら75万円にするということだ。支払いなどで引き落とされる金額しか稼げないと、一切貯蓄はできないということになる。それでは先がないので、目標は上に作っているわけである。

ただ、今年はあまり調子がよくない。7月まではなんとか目標以上か、僅かに追いつかないか、というぐらいまで達成できていたのだが、8月が77.77%、9月が49.21%と大きく未達になっている。1.5掛けではない本来の必要な金額に対しては、8月こそ116%と上回ったが、9月は73.25%と届かなかった。

目標金額に届かなければ、貯蓄を切り崩さなければならない。こういう月がずっと続けば窮乏するわけである。9月は同人誌やらいろいろあって出費が嵩んだから、というような原因は把握している。これで把握していないと、突然貯蓄が減ったような印象になって落ち込むのは間違いない。また、次年度以降にどうすれば9月を乗り切れるかという見込みも立てられる。営業目標を立てるのは大事なのだ。

長期的に見れば、目標金額を抑える、つまり支出を減らずのが最も安全な対策だということになる。間違いなくここしばらくの物価高騰が影響しており、政府がインフレに舵を切っている以上、生活費が減らせる見込みはほぼない。愚痴になるが、支出を上回る所得を、と政府が言うとき、想定しているのは給与所得であって、フリーランスの雑所得ではないのだ。だからインフレの恩恵にまったく与ることはない。それは職業の宿痾ゆえ已む無し。

支出減は当然、趣味に回せる金額がなくなることを意味する。それはなんとしても避けたいので、こうして目標金額を達成できるように日々あがいているわけだ。趣味で支えている仕事というか、趣味そのものが仕事なので、私の場合それを失うことは職業の危機を意味するのである。趣味と関係ない仕事をしなければならなくなる。だから自分を守るためにがんばりますよ、私は。

ちなみに上記の金額には日銭仕事しか入れていない。原稿料やイベントの出演料、新人賞などの選考料ということだ。9月が低調なのは、下読み仕事がない月だということも影響している。著書の印税は別会計で考えていて、これは収入の計算に入れていない。莫大な額を稼げる人気作家ならともかく、私が得ている印税など日々の余禄に過ぎないのである。それを頼りにするようになると、収支の計算があやふやになっていく。作家とはたぶん、印税収入だけで食える人のことを言うのだろうなあ。

というわけで本が売れても日々の収支は好転するわけではないのですが、初の長篇評論『日本の犯罪小説』(光文社)が発売になっております。店頭で見かけたらどうぞ手に取ってみてください。また、10月26日(土)は一日演芸会の〈スギエゴノミ〉も予定しております。番組は下の画像をどうぞ。こちらも予約お待ちしております。

Share

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Evernoteに保存Evernoteに保存