杉江松恋不善閑居 立川寸志独演会IN立川&書心会

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某月某日

朝いちばんで外出して、まずは高円寺の西部古書会館に。書心会の二日目である。西部古書会館の催しとは相性が悪いことが多いのだが、この日は大当たりだった。演芸関係の棚に、玉川良一『タマリョウのぶっちゃけ放談』(弘済出版社)を発見する。玉川勝太郎一門から出た浪曲師だが、ピン芸人としての活動で世に出た。間違いなく師匠勝太郎についても書いているはずなので、これは浪曲本である。購入。もう一冊井上宏『放送演芸史』(世界思想社)を手に取ると、索引にずらりと浪曲師のお名前が並んでいる。初期のラジオやテレビにどのような演芸者が登場したかを紹介した本なのである。基礎資料として珍重するはずなので、これも購入。二冊で六千円だったが、買う価値があった。

そこから移動して立川駅へ。たましんRISURUホール 小ホールで開催される「立川寸志、通算一〇〇〇人様のお認めで、真打になります。 立川編」に伺うためだ。寸志さんの師匠である立川談四楼さん新刊『七人の弟子』(左右社)先行販売があるのだが、寸志さんの手元にある冊数では足りないので、急遽版元から送ってもらった。それがヤマトの営業所に着いていたので、ピックアップして会場に届けた。

12時20分頃開場、当日券が出ないほどの満員だったが、本当に席はほとんど埋まっていた。13時に開演。

寿限無 談九

景清 寸志

中入

時そば 寸志

芝濱 談四楼

結果発表

談九さんは談四楼さんの九番目の弟子で、声が明るく聞き取りやすいのがいい。寸志さんのネタのうち「景清」は最近トリ噺50席でも聴いたが、怒りの感情にからめとられて行動がままならなくなっていく主人公が緻密に描写されていることに感心した。突如目が見えなくなり、そのままならなさを表に出せずに鬱屈している人物だから、表面の我慢が切れると爆発してしまうのだ。「時そば」はスラップスティックな演出で、蕎麦の汁を啜った主人公があっちの世界に行ってしまうところでいつも大笑いする。二席の対比が効いていて、いい選択だと思った。トリの「芝浜」は時間に合わせたショートバージョンだが過不足ない演出だし、なんといっても勝五郎の改心がきちんと描かれているのがいい。アルコール依存症がそんなに簡単に治るわけはない、つまりは絵空事の部分があるのだが、フィクションなのだからこのくらいの綺麗事で綴られてもいいと思うのだ。

お客さんから真打認定書を回収して終了。約200人の積み上げがあり、残りの数は311人となった。次は2月10日、日暮里サニーホールコンサートサロンでの開催となる。

『七人の弟子』は無事完売。めでたし。

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