水曜日は固定された用事が四つもあって、一つでも遅れたらドミノ倒しのようにすべてに影響が出るところだった。汗をかきかき都内を動き回る。
まず10時からはリモートで坂嶋竜さんと「文庫大研究」の収録である。これが終わったら家を出て、南青山の日本推理作家協会事務局へ。予選委員を拝命している推理作家協会賞長編及び連作短編集部門の一次選考会があるのだ。といっても事前にそれぞれの推薦作は送ってあるので、顔合わせをして必要事項を確認するだけである。会議自体は15分もかからずに終わった。ちょっと雑談をして事務局を出る。13時25分、次の目的地は半蔵門である。
これまで何度か来たことがあるFM TOKYOが目的地だ。午後に放送されている「レコレール」という番組で、2024年に読んで感銘を受けた本を三作話してもらいたいという依頼があったのだ。スタジオに入り、パーソナリティーの鬼頭由芽さんにご挨拶する。この日紹介したのは森見登美彦『シャーロック・ホームズの凱旋』(中央公論新社)、君嶋彼方『春のほとりに』(新潮社)、朝倉かすみ『よむよむかたる』(文藝春秋)の三冊。放送内で言う機会がなかったが、〈好書好日〉の〈日出る処のニューヒット〉でどれも取り上げた本である。よかったらリンク先から書評をご覧あれ。
それが終わって半蔵門線で神保町へ。古書店街を抜けて神田駅へ向かう。向かっただけではなく何店か覗いたが、これは不可抗力だろう。手塚書店で拾ったジェラルド・グローマー『瞽女うた』(岩波新書)は良書で、巻末に知らなかった参考文献がたくさん付いていてお買い得だった。いい本が手に入って嬉しい。
神田では早川書房に。今年から選考委員を務めることになったアガサ・クリスティー賞の贈賞式なのである。受賞作『マリアを運べ』は最近では珍しい直球の冒険小説で、プロットはギャビン・ライアル『深夜プラス1』(ハヤカワ・ミステリ文庫)を連想させるものだ。間もなく発売されると思うので、お楽しみに。
式典では初めての参加ということもあり講評の役目を仰せつかった。無事にこなし、あとは懇親会へ。睦月氏、会にいらしていたSFコンテスト受賞者の犬怪寅日子氏といろいろお話しする。お二人のますますの健筆をお祈り申し上げたい。
深更に帰宅。さすがに疲れた。