備忘のための日記、続き。
先週の土曜日は実に慌ただしかった。
まずは午前中から都内のある場所に、川出正樹・酒井貞道両氏に来ていただき、「リアルサウンド認定2024年度翻訳ミステリーベスト10選定会議」の収録である。三人が同時に顔合わせするのはたぶん5年ぶりくらいになる。新型コロナの断絶は長かった。収録が押してしまうとこの後が大変だったのだが、なんとか予定よりも早く終えることができた。解散し、私は田町駅へ向かう。
港区立伝統文化交流館で鶴田流薩摩琵奏者の琶川嶋信子氏主催で講談・落語・浪曲・琵琶四つの語り芸が、しかも文芸原作に限定して口演されるという貴重な会が開かれたのである。題して「文学を語る。日本の話芸」。会場は昔の芝浦花街見番だった場所で、木造の趣ある建物だ。ここの二階で開催されるということで受付のお手伝いをすることになっていた。番組は以下の通り。
樋口一葉の生涯 神田伊織(講談)
きつね葛の葉(寺山修司原作) 川嶋信子(鶴田流薩摩琵琶)
押絵と旅する男(江戸川乱歩原作) 港家小そめ・沢村博喜(浪曲)
質草(井上ひさし原作) 春風亭昇羊(落語)
どの演者も原作の魅力を十分に引き出し、そこに自分の個性を載せた魅力ある語りになっていた。お客さんも満足して帰っていかれたと思う。私が木戸番の手伝いをしたのは上記の顔付けをしたからで、一応スタッフということになる。いささか身内褒めになってしまうが、また開催してもらいたいと望んでもらえるような、いい会であった。
片付けをし、近所の喫茶店で小そめ・博喜両氏と、後見に入ってくれていた天中軒かおりさんと少し話して帰る。猛烈に忙しい一日だったので、帰宅した途端に疲れが出た。