杉江松恋不善閑居 2冊単著が出せた棚から牡丹餅の2024年。

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某月某日

備忘のための日記はこれでおしまい。

今週の月曜日、すなわち昨日は一日籠りきりで、トイレの掃除などに没頭していた。仕事読書もし、ちょっと原稿を書いては止めもし、とつまりは平常運転である。

明けて火曜日、つまり本日になってもあまり状況は変わらずに掃除をしたり、中途半端に仕事をしたりしている。というのも、家の中でちょっとした出来事があったからで、あたふたしている間に気がそれてしまい、年越しの準備をするような心になれなくなったのだ。もうこのままで年を越そう、と思ったとたん無性に原稿を書きたくなり、一本仕上げてしまった。今から送っても編集者を困らせるだけなのに。でも送った。この原稿料で12月に稼がなければならない金額への進捗率は63.85%となった。ほんのちょっと赤字である。やむなし。

こうやって単発の原稿を書きたくなって書いて送ってそれで原稿料を貰うというのが、いちばん性にあった暮らし方なのだと思う。自分のライター生活の中でもいくつか楽しかった時期があって、一つはアライユキコさんが編集者だった時代のエキレビ!に立て続けに原稿を書いていたころだ。あれはアライさんにライターが企画を出して、承認されればもう原稿を書いていいという形になっていて、しょっちゅう提案ばかりしていた。一日一本原稿を書かないと死んじゃう病気だと思っていた。そういう風に原稿を書いて暮らしていたのだ。

エキレビ!の原稿料が他と比べて安いというわけじゃないのだけど、日銭の原稿料だけではかつかつの暮らししかできないというのが正直なところである。だから本を出す。それでいささかの余裕が出て、また日銭原稿を書けるようになるのだ。副収入ではないが、この分のお金を稼げないと今は私のようなライターはきつい時代になっていると思う。

2023年が終わった段階で2025年に1冊編著が出ることは決まっていたのだが、2024年は未定だった。これは本が出せないのかもしれないな、と思い、いわゆるサンドウィッチの年なのかもしれないと諦めた。そうしたらなぜか急に話が進展し、『芸人本書く派列伝』と『日本の犯罪小説』という単著が世に出せたわけである。いや、『日本の犯罪小説』のほうは最初から2024年のつもりだったんですけど、と編集者には言われるかもしれない。Sさん、ごめん。『芸人本書く派列伝』のほうは、駄目元で提案をしておいた企画が、あれよあれよという間に実現して本になったという経緯がある。私ではなくて編集者が偉かったのだ。Yさん、ありがとう。

2025年は一応、1冊の編著と1冊の共著が出る、ような気がしている。私がちゃんと頑張れば。それ以外にもいろいろ話が出てはいるし、準備も進めているのだが、少なくともこの2つだけは世に出せる自分でありたいと思う。

2026年に出したい本の企画はもう進めていて、まだまだ先は見えないのだけど、これもなんとかなるだろう。原稿を毎日書いて暮らせるライターであり続けるために地味に頑張る。

来年もよろしくお願い申し上げます。

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