まだ仕事が落ち着かない感じだが、ぼちぼち平常進行に戻していくつもりである。
そんな中、主催する演芸会の紹介をさせてもらいたい。以下敬称略で。
まず、2週間後の土曜日、3月29日はアートスペース兜座(中央区日本橋兜町11-10)にて、一日〈スギエゴノミ〉である。
午前の部は11時から、年季明けを目指す天中軒かおりと玉川絹華の二人による勉強会〈目指せ! 年季明け〉だ。この会では毎回3席を予定しており、交互に2席ずつ読む。今回は天中軒かおりが2席を勤める予定である。曲師はかおりに沢村博喜、絹華に玉川さと。タイトルが示す通り、二人が年季明けをするまで伴走していくつもりなので、ぜひ応援を。
そして午後の部は、14時から木村勝千代独演会。同じくアートスペース兜座で、曲師・広沢美舟でお贈りする。毎回2席のうち1席は予告を出しているが、今回は『御伽草子』から「酒呑童子」の予定。このネタ、実は私も聴いたことがないので楽しみにしている。平安京の世界をどのように再現して唸ってくれるか、楽しみである。もう1席と、私も参加してのトークコーナーがあるので、その内容もお楽しみに。
夜の部は18時から、天中軒景友独演会である。同じくアートスペース兜座。景友はフランメンコギター奏者として活動していたことでも有名だが、実は若いころ世界を放浪して、タイのバンコクでムエタイ修行をしていた時期がある。プロフィールの中でムエタイの4文字がいつも唐突なので、これは絶対に何かの形で表現する必要があると思っていた。自らそれを浪曲台本化し、ご披露の段となった。
ご存じの方も多いだろう。景友は昨年末に交通事故にあった。不注意運転の自動車に跳ねられたそうなのだが、一部の骨が折れただけで済んだらしい。ご両親も丈夫な体に産んでくれたものである。もしかするとムエタイ修行で肉体を鍛えた賜物なのかもしれない。その事故が、なんと景友独演会を予定していた前日だった。その振替が今回である。運がいいのか悪いのかわからない景友を、ぜひ応援いただきたい。
ちなみに次回の〈スギエゴノミ〉開催は5月24日(土)を予定している。昼の部と午後の部は固定で、夜の部は二回目になる広沢菊春連続読みに挑戦の会。曲師はもちろん広沢美舟である。この会では二代目広沢虎造の持ちネタのうち連続ものに挑戦しており、「国定忠治」を今読んでいる。次回の予定は「火の車お万」である。忠治対女性侠客の勝負が見どころだ。
替わって4月8日は、同じくアートスペース兜座にて真打昇進が目前に迫った立川寸志が披露目興行でかけるネタを貯めていく連続企画「トリ噺50席」である。19時開演で2席の予定。先日、寸志はさがみはら若手落語選手権で悲願の優勝を果たした。聞いたら、5回目の出場であったという。過去4回もすべて決勝には残っていた。さがみはらでは、決勝に残った者は翌年出場できなくなるので、間が1年ずつ空いている。つまり7年越しの栄誉というわけだ。おめでとう。この会はこれまで隔月開催だったが、それだと真打昇進に間に合わないということで、3月から毎月になった。毎回ではなくてもいいので、今のうちに二ツ目時代最後の輝きを目に焼き付けておかれてはいかがか。
4月12日(土)は、北区王子の北とぴあペガサスホールにて、真山隼人・沢村さくらコンビの「浪曲じゃりン子チエ」東京公演の第2弾がある。はるき悦巳の人情ギャグ漫画を浪曲化していくプロジェクト、前回「チエちゃん登場」ではチエの母・ヨシ江が家出から帰ってくるまでを描かれた。今回「小鉄とジュニア」は猫たちが主演である。今調べたのだが、劇場版ではアントニオJr.を横山やすし、小鉄を西川きよしが当てていた。時代だなあ。どこでもかけられるネタというわけではないので、東京では聴ける機会も限られる。ぜひこの会にご予約を。前回かけられた「チエちゃん登場」も再演の予定である。