奈良行続き。ふうせんかずらを出てさらにまっすぐ東へ。こころもち北上するような感じで少しずつ交差が食い違っている道を歩いていくと、やがて賑やかな道に出る。下御門商店街で、北上していけばバスも通る三条通りにぶつかるから観光客が大勢歩いている。ここまで来ればJRよりも近鉄奈良駅のほうが近い。
ぶつかった商店街を北上していくと、やがて道の左側に見えるのが智林堂書店だ。開店11時とのことだったが、もう開いていた。日曜日の午前中なのでけっこうやっていない店も多い。目玉はだから、この智林堂書店である。
真ん中に仕切りのある鰻の寝床型の古本屋で、中央は文庫が中心である。右には文学、左には郷土関連本が多く、背の高い棚の上には全集本の束などが置かれているからいちいち確認しないといけない。見上げすぎて首が痛くなるのはいい古本屋の証拠だ。
この日は旅先ということもあり、また探しているものがいくつかあったので文庫棚を中心に見た。そこに新書も混じっており、けっこう古めの珍しいノベルスも見かけられるので油断がならない。藤原審爾はないか、と注視したが大丈夫だった。あれば買わなければいけない。文庫だったらなんでも買えるな、と思っていた矢先に講談社文庫のジョン・ゴーディ『ザ・スネーク』を発見した。逃げ出した蛇を巡るパニック・スリラーで、もちろんダブりなのだが買っておいてもいいだろう。郷土史関連をもう一度見直して漏れがないかを確認、勘定を済ませて表に出る。
店頭には観光客らしい方が溜まって、奈良本の特集棚を眺めていた。人通りも多いし、ふりのお客さんでも入りやすい店作りは正解だ。このお店はブログも積極的に更新していて、いつか店舗を覗いてみたいと思っていた。ようやく足を運べて満足である。(つづく)