杉江松恋不善閑居 物価は上がるが原稿料は上がらない、そしてフリーライターにあがりはない

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某月某日

最後の最後に期末ならではのごたごたが持ち上がり、送り忘れていた請求書を作って連絡したり、新著の販促関係で急遽外出したり、で昨日の午前は潰れてしまった。午後は本日に控えた某プロジェクトのため準備。商業原稿は書けなかったが、他人のための企画書を作成して提出したので、勤務評定としては+3.0ということになる。

昨日で3月度の営業成績は結果が出た。目標額に対する達成率は92.18%で及ばず。10%近い赤字となってしまった。今月がんばる。

赤字となった原因を見てみると、レギュラーの原稿はきちんとこなしており、イレギュラーのものも書いているので、単純に支出額に対して見込める収入額が少ないということになる。もっと仕事を入れないと赤字が続くということだ。

この計算には印税や講師仕事など、不安定なものは含めていない。なので、書き仕事の受注を増やすか、単価を上げない限り、改善は見込めない。

もちろん前者をがんばるが、本当は後者もやるべきなのである。つまり原稿料値上げだ。支出が増大している原因の一つは物価上昇である。被雇用者は賃上げという形でそれに応じさせることを雇用主に請求する。雇用関係のないフリーランスには難しく、単価を上げるように要求すれば、依頼が止まる危険がある。我慢をしながら、仕事量を増やすことで対応するしかないわけだ。仕事が増えれば健康に影響が出るかもしれない。身を削って世過ぎをするという残酷さである。好きで選んだ仕事だからこれは仕方ない。

何度も書いているように、ライターは降ってくる仕事をもらっているようだと、単価が上がらない、安い仕事でも受けるしかない、品質が落ちて自滅する、という負の連鎖に陥るばかいである。自分にしかできない仕事を世に広めて、新しい市場を獲得する努力が不可欠で、それができなければ店仕舞いすることになる。まだまだ店仕舞いするわけにはいかないので、もうちょっとあがいてみようと思う。

フリーライターにあがりはない。

大御所になるというのはつまり、あの人はもう仕事を気安く頼める相手ではないから隠居してもらおう、ということである。

格調が高い、やはりものが違う、というのは、時代遅れになったから飾り棚に祭り上げようということである。

もっとも大事なのは現役であり続けること、次が少しばかり現在から遅れようと無視できない個性を備えることだ。故・北上次郎さんは、それを見事にやり抜いた人だった。改めてその偉大さを思う。

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