先週土曜日は〈スギエゴノミ〉の一日であった。
午前の部は天中軒かおり・玉川絹華「目指せ、年明け!勉強会」。曲師はそれぞれ沢村博喜、玉川さと。この会ではどちらかが二席、合計三席を読むことになっている。この日はかおりが二席の番。一席はネタおろし、最初の一席は天中軒一門が最初に読む定番の外題を演じた。
若き日の小村寿太郎 かおり・博喜
たぬきと和尚さん(イエス玉川作) 絹華・さと
黒田武士 かおり・博喜
二人が熱演している間に午後の部の木村勝千代、広沢美舟両演者が到着し、ぱたぱたと準備にかかる。かおりがそのまま残って後見についた。この日の予告ネタは、御伽草子から「酒呑童子」と決まっていた。
酒呑童子 勝千代・美舟
トーク
慶安太平記 箱根山 勝千代・美舟
「慶安太平記」を読むことは知らされてなかったので、私がいちばんびっくりした。木村派の十八番で大儲けである。「酒呑童子」は源頼光に退治される鬼の側にも同情したくなる演出であった。トークの時にも言ったが、勝千代作の外題には鬼や化外の民など、まつろわぬものに対する視線が通底している。弱者、外れものへの共感と言うべきか。それは浪曲にとって、もっとも大事な要素なのである。勝千代を聴くべき所以だ。
終演と同時に天中軒景友到着。11月23日の予定であった独演会だが、前日交通事故に遭ったため延期となった。再挑戦である。自らのムエタイ修行を浪曲化してもらいたい、というのが私のお願いだったが、果たしてどのようになったか。
孔雀の寺・表 景友・美舟
孔雀の寺・裏 景友
「表」は落語「崇徳院」のプロットを援用しつつ、青春期特有のこじれた心情をコミカルに描いた一作となった。「裏」は三味線を外した独り舞台で、浪曲というか不思議な演出である。こちらはバンコクを旅する青年の視点から、何かを求めて海外に流れ着いた人の外形が描かれる。あえてその人物の心中には踏み込まず、奇譚として突き放して終わったが、視点人物も、描かれる相手も、景友の分身だろう。そういう形で内外から若き日の自分を語るという一席なのだった。表と合わせて一つのイメージが形成される。なるほど裏だ。
終演後はそそくさと後始末をして出た。これから熱海まで行って、地元PTA会長同期会の慰安旅行に参加するのである。当然ホテルの食事時間は終わっているので、熱海駅から近いところにある中華屋で食事を済ませて合流した。温泉に浸かった後で部屋飲み。近況を噺ながら午前1時まで。