杉江の読書
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杉江の読書 今柊二『餃子バンザイ!』(本の雑誌社)
餃子食いには二種類いる。違いは、餃子をおかずとしてご飯を食べるか否かである。定食評論家の今柊二は、実家が「ご飯食べない派」だったため長らく餃子をおかずにすることができなかったそうだ。実家の慣例が後の習慣に影響を与えるのも餃子という食べ物の特徴だろう。私も家で餃子を包んで食べた体験があまりに幸せだったため、今でもその大きさのものを好む。一口サイズや、ジャンボ...
杉江の読書 木下昌輝『戦国24時 さいごの刻』(光文社)
主人公の最期をクライマックスに据えると予告し、溯ってそこに至る筋道を綴る。 サスペンス小説としてはそれほど珍しくないが、それを時代小説の連作短編で行ったという点に新味がある。木下昌輝『戦国24時 さいごの刻』はそうした作品だ。 収録作は六篇、巻頭の「お拾い様」で死へのカウントダウンを数えられるのは、豊臣秀吉の遺児・秀頼である。二回にわたる徳川勢...
杉江の読書 天龍源一郎『完本・天龍源一郎 LIVE FOR TODAY いまを生きる』(竹書房)
誰が呼んだか「北向き天龍」。 大相撲で前頭筆頭まで昇り詰めたのちプロレス界に転じ、馬場・全日本での三冠ヘビー級王座戴冠をはじめとする数々の輝かしい戦績を残した、天龍源一郎が奉られた仇名だ。「北向き」とはへそ曲り、変わった性格のことを言う隠語である。 このたび刊行された自伝『完本・天龍源一郎』を読んで、北向きゆえの魅力に改めて気づかされた。斜に構...
杉江の読書 玉袋筋太郎+プロレス伝説継承委員会『抱腹絶倒プロレス取調室』(毎日新聞出版)
藤原(喜明) あのね、これはハッキリ言っとくけど、俺のほうから「俺はアイツの師匠だ」と言うことはないから。俺は教えたつもりでも、教えられたほうがそう思ってなかったら師弟じゃないんだよ。師匠と弟子というのは、弟子のほうが決めるものなんだよ。 藤原喜明が師・アントニオ猪木を語り、グレート小鹿が馬場の「兵隊」時代を振り返り、将軍KYワカマツが国際プロレスの...