東郷隆
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小説の問題vol.35 「ふしぎとばらばら」東郷隆『鎌倉ふしぎ話』・伊坂幸太郎『オーデュポンの祈り』
この欄で前に書いたことがあるかどうか忘れてしまったが、私は学生のとき落語研究会にいたことがある。 その会では、はじめにごく短い小噺を習い、次にもう少し長くて起承転結のある小噺、それから「寿限無」や「道具屋」みたいに簡単な噺を始める、といった稽古のつけ方をしていた。「夕立屋」というのが、その二つめの噺である。 夏の暑い盛り、ご隠居が縁側...