立川談志
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立川談四楼『七人の弟子』(左右社)出版記念落語会のお知らせ
〈落語もできる小説家〉は、かつて落語立川流真打、立川談四楼さんが、作家としてのデビュー作『シャレのち曇り』(PHP文芸文庫)を上梓したころに打ち出したキャッチフレーズでした。 芸人には余芸として他のことを手がける向きが少なくありません。小説もその余芸の一つに入ります。芸人小説家の肩書きがある方は多いですが、中でも談四楼さんは小説家としても実力派で読み応...
杉江松恋不善閑居 浅草木馬亭九月公演初日・立川談志の目黒名人会のこと
某月某日 しばらく記事を書く余裕がなかったが、浅草木馬亭の九月公演の初日なので。最近は出演者を確かめずにとりあえず木馬亭まで行っているので、着いてから始めて三門柳さんがトリだと知る。テケツのところで沢村豊子さんをお見掛けする。テケツで遭遇する率の最も高い曲師だ。本日は出番なしだったので遊びに見えたらしい。 出世定九郎 三門...
街てくてく~古本屋と銭湯、ときどきビール 2020年1月・雑司ヶ谷「みちくさ市」・池袋「古書往来座」
某月某日 雑司ヶ谷の鬼子母神通りで開催されるみちくさ市にまた参加してきた。 ここでは一箱古本市が行われ、個人で出店できるようになっている。2019年初めのみちくさ市ということで頑張って駆け付けたが、いつもよりも人は少なめであった。寒いからね。無理もない。 過去数回とは道の反対側に場所を貰い、周囲の方に挨拶をしてお店を開く。い...
芸人本書く派列伝vol.25 ビートたけし『やっぱ志ん生だな!』玉袋筋太郎『粋な男たち』
落語界一の大物・林家木りんの著書が出ていた。『師匠! 人生に大切なことはみんな木久扇師匠が教えてくれた』(文藝春秋)である。ただしこの場合の大物とは、文字通り新潮がでかいことを指している。林家木りん、192センチもあるのだ。190センチのアントニオ猪木より大きく196センチのジャンボ鶴田にはわずかに及ばない。父が元大関・清國なのだから...
芸人本書く派列伝returns vol.22 梶芽衣子『真実』・野末陳平『あの世に持っていくにはもったいない陳平ここだけの話』
最近は思うところがあって浪曲関連の文献ばかり読んでいる。ひさしぶりに浅草木馬亭通いも復活させ、ちょっとした浪花節ブームである。 もちろん新しい本も読んでいるのだがメルマ旬報用に題材を探していたら、オフィス北野界隈がたいへんなことになったり、〆切直前になって月亭可朝が亡くなったり、慌ただしいことになってしまった。それぞれ中途半端な形で取り...
小説の問題vol.28 「やさしいことって難しい」佐藤多佳子『しゃべれどもしゃべれども』・山口雅也『続・垂里冴子のお見合いと推理』
最近で最も興奮した出来事は、劇団水族館というところの公演を観に行ったことだった(注:2000年)。公演といっても、いわゆる小屋掛け芝居である。こういう演劇を観るのは、今は亡き渋谷ジァン・ジァンで寺山修司「毛皮のマリー」を観て以来だから、おそろしく久しぶりのことだった。 そんな演劇素人の私が言うのもなんだが、この「廃墟のディアスポ...
芸人本書く派列伝returns vol.15 毒蝮三太夫・塚越孝『まむちゃんつかちゃんの落語にラジオ』
前々回のこの欄で三遊亭圓丈『御乱心!』(主婦と生活社)を取り上げたが、その際に本が発掘できなかったので五代目三遊亭圓楽『圓楽 芸談 しゃれ噺』(白夜書房)について触れずじまいであった。こういうときは時間をおいて探すといいもので、倉庫に入って棚をいじってみたら嘘のようにあっさりと見つかったのである。 第五章「圓生、そして一門」にそのことについての...
芸人本書く派列伝returns vol.13 三遊亭円丈『師匠、御乱心』
2017年2月の「水道橋博士のメルマ旬報」原稿である。約2年前のこの回をもってreturnsの毎日更新をいったん止め、月曜日のみの更新とする。明日からはまた別の過去連載原稿を再録していくことにするので、よかったらまた読んでみてください。 ============================= 2016年の演芸・落語本の補遺として『円丈...
芸人本書く派列伝returns vol.9 立川談四楼『そこでだ、若旦那!』
先月の30日(注:2016年9月)、何の気なしにtwitterを覗いたら、本マガジンの編集長である水道橋博士が、明らかに私に宛てたと思われる引用付きリツイートをしていて驚いた。「メルマ旬報」には真打・立川談慶と談笑門下の二ツ目である立川吉笑のお二人が連載を持っているのはご存じのとおり。談慶さんは私と同じ「め」組だが、吉笑さんの連載「現在落語論~落語立...
芸人本書く派列伝returns vol.8 立川談四楼『シャレのち曇り』『石油ポンプの女』『談志が死んだ』ほか
「すばる」2016年9月号に、頼まれて落語の演目ガイドを書いた。 といっても個々の演目のストーリーにはそれほど意味がなく、どちらかといえばそれをどのような演出で客に提示するかを問われるのが落語という演芸である。なので自身の落語経験を踏まえ、ストーリーを追っていた聴き手がどのように変化したか、その見本として読んでいただくこととした。題名を...