芸人本書く派列伝 一覧

芸人本書く派列伝returns vol.18 藤村忠寿・嬉野雅通『腹を割って話した』ほか

まだ北海道テレビ制作の番組「水曜どうでしょう」についてあれこれ考え続けている。 前回のこの欄であの番組について「非日常を圧倒する日常」が魅力の源泉なのではないか、と書いた。それは私にとって重要なキーワードでもある。何が起きても日常に回帰していくという安心感、特別なことのない、普通の生活がダメージを受け止められてくれることの心地よさを知らしめるこ...

記事を読む

芸人本書く派列伝returns vol.18 嬉野雅道『ぬかよろこび』ほか 

芸人本書く派列伝returns vol.18 嬉野雅道『ぬかよろこび』ほか 

あれはたぶん2011年ごろのことではないかと思う。 何の気なしにテレビを点けたら、画面に二台の原付バイクが映し出された。カメラは固定でその二台を追うだけだったが、音声は流れてきていて、どうやらバイクに乗っている二人か、もしくは画面には映っていない誰かとが会話をしているらしいことがわかった。誰が誰なのかはわからない。時折、地の底から響くような声で...

記事を読む

芸人本書く派列伝returns vol.17 筏丸けいこ『人間ポンプ ひょいとでてきたカワリダマ 園部志郎の俺の場合は内臓だから』

芸人本書く派列伝returns vol.17 筏丸けいこ『人間ポンプ ひょいとでてきたカワリダマ 園部志郎の俺の場合は内臓だから』

半径のごく小さなメモワールから始めることをお許しいただきたい。 幼い頃、東京都西部の府中市に住んでいた。お宮参りはその府中市にある大國魂神社なので、今でも気分としては同社の氏子である。大國魂神社のくらやみ祭りは関東三大奇祭の一つと呼ばれていて、日没後に神輿と山車が出る。昔は街灯を消して、文字通り暗闇で神事を行ったそうで、そのためかずいぶ...

記事を読む

芸人本書く派列伝returns vol.16 秋山訓子『女子プロレスラー小畑千代 闘う女の戦後史』・小林信彦『おかしな男 渥美清』

芸人本書く派列伝returns vol.16 秋山訓子『女子プロレスラー小畑千代 闘う女の戦後史』・小林信彦『おかしな男 渥美清』

今回は新刊で芸人本を読むのが間に合わなかったので番外編です。ご勘弁を。 ご存じの方もいらっしゃるかもしれないが、私は書評家の藤田香織さんとの共著で『東海道でしょう!』(幻冬舎文庫)という本を出している。東海道五十三次495kmを実際に歩いてみたルポルータジュだ。数年前の著書なのだが、最近になってこの本に絡んだ講演をしてほしいという依頼が...

記事を読む

芸人本書く派列伝returns vol.15 毒蝮三太夫・塚越孝『まむちゃんつかちゃんの落語にラジオ』

芸人本書く派列伝returns vol.15 毒蝮三太夫・塚越孝『まむちゃんつかちゃんの落語にラジオ』

前々回のこの欄で三遊亭圓丈『御乱心!』(主婦と生活社)を取り上げたが、その際に本が発掘できなかったので五代目三遊亭圓楽『圓楽 芸談 しゃれ噺』(白夜書房)について触れずじまいであった。こういうときは時間をおいて探すといいもので、倉庫に入って棚をいじってみたら嘘のようにあっさりと見つかったのである。 第五章「圓生、そして一門」にそのことについての...

記事を読む

芸人本書く派列伝returns vol.14 玉袋筋太郎『スナックの歩き方』

芸人本書く派列伝returns vol.14 玉袋筋太郎『スナックの歩き方』

たけし軍団の芸人は早くテレビを捨てて寄席に出るべきではないか、と昔思っていた。 ビートたけしの命によってタップダンスを習わさせられている、などという噂を聞いたころだからかなり昔のことだと思う。 その考えが正しかったかどうかといえば、率直に言えば外れだった。テレビにすっかり定着した軍団員もいれば、政界進出を果たした剛の者もいて、思ったほど寄...

記事を読む

芸人本書く派列伝returns vol.13 三遊亭円丈『師匠、御乱心』

芸人本書く派列伝returns vol.13 三遊亭円丈『師匠、御乱心』

2017年2月の「水道橋博士のメルマ旬報」原稿である。約2年前のこの回をもってreturnsの毎日更新をいったん止め、月曜日のみの更新とする。明日からはまた別の過去連載原稿を再録していくことにするので、よかったらまた読んでみてください。 ============================= 2016年の演芸・落語本の補遺として『円丈...

記事を読む

芸人本書く派列伝returns vol.12 三遊亭円丈『円丈落語全集1』

芸人本書く派列伝returns vol.12 三遊亭円丈『円丈落語全集1』

2016年に刊行された「本書く派」芸人の著書を整理していて大事なものが抜けていたことに気づいた。新作派落語家の頭領というべき三遊亭円丈の『円丈落語全集1』である。 この本が抜けてしまった一つの理由は、円丈の自費出版だったからだ。発行元は円丈全集委員会になっており、販売元を映像作品メーカーのクエストが務めている。といっても本にはISBNコードが入...

記事を読む

芸人本書く派列伝returns vol.11 『成金本』

芸人本書く派列伝returns vol.11 『成金本』

以下は2017年最初の「メルマ旬報」原稿だった。2019年もインフルエンザに罹患したが、この年もやられていたらしい。このときはまだ自分が成金メンバーの一人の聞き書き本を担当することになるなど、知る由もない。 ======================== あけましておめでとうございます。元旦早々インフルエンザに罹患したことが発覚し、強制寝正月と...

記事を読む

芸人本書く派列伝returns vol.10 広瀬和生『僕らの落語 本音を語る! 噺家×噺家の対談集』

芸人本書く派列伝returns vol.10 広瀬和生『僕らの落語 本音を語る! 噺家×噺家の対談集』

これを書いている日の夜(注:2016年12月9日)、新宿五丁目BIRIBIRI寄席改めマイクロシアター電撃座は初めて女性落語家の会を開催する。落語芸術協会に所属する三遊亭遊かりさんの会だ。これまでも前座で女性落語家が上がったことはあったのだが、メインになるというのは初めてなのである。初めて尽くしではもう一つあって、遊かりさんは電撃座の「売り込み第一号...

記事を読む

1 2 3 4