森見登美彦
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幽の書評vol.7 森見登美彦『きつねのはなし』
人智を超えたものが蠢く、蜃気楼の街・京都。第二十回山本周五郎作家が世に問う、初の怪談小説集 森見登美彦は蜃気楼のような小説を書く作家である。蜃気楼は大蛤の見る夢だというが、森見の場合は、四畳半に独居する男の夢想が像を結んだものだと思われる。連作集『四畳半神話大系』(太田出版→角川文庫)収録の「八十日間四畳半一周」は、永遠に続く四畳半の中に男が閉じ込めら...
小説の問題 「グーグーだってペコペコである」津村記久子と森見登美彦と小林信彦
「問題小説」連載の原稿を発掘する「小説の問題」、今回は2008年10月号だ。 雑誌の切り抜きをぱらぱらめくってこのタイトルを発見したときは、思わず笑ってしまった。なんだこれ。元ネタは有名な漫画のあれだろう。フィクションを三冊紹介するときに、統一テーマとかではなく部分に注目してみようと思いついた回、のはずである。 この三冊をとりあげた、という時...