水木しげる
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小説の問題VOL.54 「本のお買い得度」 高橋克彦『ゴッホ殺人事件』・水木しげる『ほんまにオレはアホやろか
書店の棚を眺めていたら、西原理恵子『サイバラ茸』(講談社)が出ていた。これは『恨ミシュラン』などの西原本から漫画だけを抜き出して編んだ本だ。もともと西原本については、文章をまったく読まず、漫画だけを読むという読者が多かったはず(私はそう)だから、これはとても合理的な本である。しかし既刊もある漫画を読むためだけに一冊千八百円の単行本か、と割りき...
杉江の読書 京極夏彦『虚実妖怪百物語 序』(角川書店)
京極夏彦は近世と近現代がいかに連続していて、いかに断絶しているかを明らかにしようとしている作家だ。近世文学の再現や柳田國男『遠野物語』の整理と再構成などの仕事に作家としての意図は明らかであるが、水木しげる研究こそはその根幹をなすものである。水木という欠片を嵌め込むことで、いかに近世と現代とが接続しうるかを京極は示した。 10月22日から3週間連続で序...