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小説の問題vol.5 藤木凛『ハーメルンに哭く笛』

浅草・吉原の花魁弁財天の境内にある「触れずの銀杏」には、神隠しの因縁が伝えられていた。昭和九年、早朝。その銀杏の根元で老人の惨殺死体が発見される。奇妙なことに、その老人こそ数十年前同じ場所で神隠しにあった少年の係累に当たる者だった……。 藤木稟の処女長編『陀吉尼の紡ぐ糸』はこんな情景で幕を開ける物語である。昭和初期の軍国主義の時代を時間軸に、そ...

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