辻村深月
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幽の書評vol.12 辻村深月『ふちなしのかがみ』
声にならない呟きが空間を満たしていく いつか恐い話を書くだろうな、と予感はしていた。辻村深月のことだ。彼女の書くミステリー小説には、声にならない囁きが満ちていたからである。辻村作品を読むと、いつも青春時代の暗い面に思いを馳せさせられる。たとえば『太陽の坐る場所』(文藝春秋)を読めば、行間からアノトキハ言エナカッタ……、本当ノ私ハココニイル人間デ...
小説の問題「そこにいてもいいの、とあなたは聞く」辻村深月と長嶋有と伊集院静
「問題小説」の書評欄はBOOKSTAGEという名称だった。 最初は1ページで新刊1冊の書評、そのあと新刊+文庫か新書の旧刊を1冊ずつで複数ページという形になった。やがて新刊の数が2冊になって、最終的には計3冊で4ページという形式に落ち着いた。 複数冊を同時に書評するのは、個人的にはとても難しく感じる。共通テーマを見いだそうとするあまりに、書評に本...