逢坂剛
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小説の問題vol.51 「わがままな私がおもしろい」内田百閒『百鬼園随筆』『続百鬼園随筆』・逢坂剛『アリゾナ無宿』
※百閒の名前が正しく表示されない場合、二字目は門に月である。 「浅草キッドのコラムを読むためだけのために『週刊アサヒ芸能』を買っている」とは作家にして名コラムニストの小林信彦の言だが、その浅草キッドの東京スポーツ連載コラム「捨て看板ニュース」が『発掘!』(ロッキン・オン)として刊行された。何しろ新聞連載に加筆収載したものだから情報量が多...
小説の問題vol.36「かっこ悪くてかっこいいこと」 浅草キッド『お笑い男の星座』・逢坂剛『しのびよる月』
小説におけるかっこいい町とかっこわるい町というのがあるように思うのです。 たとえば、一昔前だったら、六本木は疑いようもなくかっこいい町だったろうけど、今臆面もなく六本木をかっこよく書くのはかっこ悪いことである。逆に本郷あたりを書くのは、少しばかりかっこいいかもしれない。つまり洗練された、常時かっこいい町というものが、東京には存在しなくな...
小説の問題vol.27 「「私」を遠く離れて」宮本昌孝『剣豪将軍義輝』&逢坂剛『禿鷹の夜』
今回はちと、偏屈に。 小林よしのり『「個と公」論』が刊行されたが、一昔前であればこの題名は『「私と公」論』とされたはずである。「公」の対立概念が「個」と考えられるようになったのは、ごく最近のことだ。 「私」の古字は「厶」である。曲がった形を書いて、自分のためにのみ図り考えることをあらわすというが、「わたくし」とは「よこしま」なことを指した...
小説の問題vol.8 逢坂剛『燃える地の果てに』
テポドン一号が発射され三陸沖洋上に落ちたことが報道されたとき、誰もが脳裏に核戦争の恐怖を思い浮かべたに違いない。あまりに拡散して核の傘自体は見えなくなったが、その脅威は今でも消えたわけではないのだ。 ところで、今から三十年以上も前の一九六六年にスペインで米軍機が事故のため墜落した事件があったことをご存じだろうか?その機内には水爆が積載されていた...